2018년 7월 2일 월요일

'새로운 공공' 선언, 2010년 6월 4일, 일본 '새로운 공공' 원탁회의 자료

「新しい公共」宣言

はじめに 

はじめに 人々の支え合いと活気のある社会。それをつくることに向けたさまざまな当事者の自発的 な協働の場が「新しい公共」である。これは、必ずしも、鳩山政権や「新しい公共」円卓会議 ではじめて提示された考え方ではない。これは、古くからの日本の地域や民間の中にあっ たが、今や失われつつある「公共」を現代にふさわしい形で再編集し、人や地域の絆を作り 直すことにほかならない。

 1995 年 1 月 17 日に発生した阪神淡路大震災は 6 千人以上の命が奪われた国民的な悲 劇である。しかし、一筋の光明は、行政も被災し、企業や商店の活動が止まった地震直後 の被災地で人々の生活を支えたのが、被災者たち自身が自発的に作った即席の共同体、 NGO・NPO、全国から集ったボランティアが作った「協働の場」だったことだ。百万人以上 の人たちが、自分がいることで人の役に立てた、そのことが自分の歓びになることを実感し た。人は支え合ってしか生きられない。それが「新しい公共」のひとつの原点だ。

 明治 5 年の学制発布の 3 年前、京都の町衆は「番組」という自治組織ごとに、各家庭が竈 (かまど)の数相応の金額を出しあう「竃金(かまどきん)」などによって、64 の「番組小学校」 を設立した。番組小学校の構内には、町組の会所、学校火消しや見廻組の部屋があった。 その伝統を持つ龍池校の旧校舎や跡地が地元自治会連合会等、関係者の努力により、 2006 年秋に京都国際マンガミュージアムとなった。地元自治会で長年こつこつと積み立て てきた資金も生かされている。自分たちの町は自分たちで創る。その心意気でみなが応分 の貢献をすることで、支え合いと活気のあるコミュニティができる。 

徳島県上勝町の高齢者によるコミュニティ・ビジネス「いろどり」。住民たちが付近の山で 葉っぱを採取し、飲食店の料理の“つまもの”として売りに出し、年商 2 億 6 千万円をあげて いる。町内の農家の約半数が事業主として参加している。町の高齢化率は 50%であるが 寝たきりの高齢者が極端に少ない。一人当たり老人医療費は徳島県内24市町村中最低で ある。みなが居場所と出番を得た。結果として、コストが低く、活気があり、満足度が高い地 域コミュニティが実現した。 

人気の雑誌「ビッグイシュー」を高々と手にかざして街角で販売しているのはホームレスの 人々だ。現在、全国で約 150 人が街角に立っている。定価が 300 円、うち 160 円が販売者 の収入だ。月に 800 部程売れば自立の道が開かれる。愛読者は、「かわいそうだから施す」 ではなく、面白い記事を、また、創意工夫して売っている販売者との会話を楽しむために買 って行く。よいものは売れるという「市場」の原理があるからホームレスの人が自信をつけ 自立の契機を得る。しかし、そこには、経済だけでなく、買う人の「共感」と「コミットメント」が 発動している。市場も、人と人との絆を作る「協働の場」になり得る。 

このような現場の活動や経験が「新しい公共」宣言の源であり、こうした活動が多くの国民 の間に広がることを願うものである。


「新しい公共」と日本の将来ビジョン

平成 22 年 6 月 4 日 第 8 回「新しい公共」円卓会議資料 2 「新しい公共」と日本の将来ビジョン 「新しい公共」が作り出す社会は「支え合いと活気がある社会」である。すべての人に居場 所と出番があり、みなが人に役立つ歓びを大切にする社会であるとともに、その中から、さま ざまな新しいサービス市場が興り、活発な経済活動が展開され、その果実が社会に適正に 戻ってくる事で、人々の生活が潤うという、よい循環の中で発展する社会である。

気候変動の影響が懸念される一方で、少子高齢化が進み、成熟期に入った日本社会では、 これまでのように、政府がカネとモノをどんどんつぎ込むことで社会問題を解決することはで きないし、われわれも、そのような道を選ばない。これから、「新しい公共」によって「支え合い と活気のある」社会が出現すれば、ソーシャルキャピタルの高い、つまり、相互信頼が高く社 会コストが低い、住民の幸せ度が高いコミュニティが形成されるであろう。さらに、つながりの 中で新しい発想による社会のイノベーションが起こり、「新しい成長」が可能となるであろう。 

日本には、古くから、結・講・座など、さまざまな形で「支え合いと活気のある社会」を作るた めの知恵と社会技術があった。「公共」は「官」だけが担うものではなかった。各地に藩校が置 かれていた一方で、全国に一万五千校あったといわれる寺子屋という、当時としては、世界 でももっとも進んだ民の教育システムがあったなど、多様な主体がそれぞれの役割を果たし、 協働して「公共」を支え、いい社会を作ってきた。政治(まつりごと)と祭が一体となって町や村 の賑わいが生まれた。茶の湯のような文化活動から経済が発生してきた。

しかし、明治以降の近代国民国家の形成過程で「公共」=「官」という意識が強まり、中央 政府に決定権や財源などの資源が集中した。近代化や高度成長の時期にそれ相応の役割 を果たした「官」であるが、いつしか、本来の公共の心意気を失い、地域は、ややもすると自 らが公共の主体であるという当事者意識を失いがちだ。社会とのつながりが薄れ、その一方 で、グローバリゼーションの進展にともなって、学力も人生の成功もすべてその人次第、自己 責任だとみなす風潮が蔓延しつつある。一人ひとりが孤立し、国民も自分のこと、身近なこと を中心に考え、社会全体に対しての役割を果たすという気概が希薄になってきている。日本 では「公共」が地域の中、民の中にあったことを思い出し、それぞれが当事者として、自立心 をもってすべきことをしつつ、周りの人々と協働することで絆を作り直すという機運を高めた い。 

日本では昔から、「稼ぎがあって半人前、つとめを果たして半人前、両方合わせて一人前。 つとめはひとさま、世間様のためにひと肌脱いで役に立つこと」といった考え方があった。現 代の企業も「新しい公共」の重要な担い手である。実際、企業は、社会から受け入れられるこ とで市場を通して利益をあげるとともに、持続可能な社会の構築に貢献することにより、「稼 ぎ」と「つとめ」の両方を果たすことが可能なはずだ。しかし、昨今のグローバル経済システム は、利潤をあげることのみが目的化し、短期的利益を過度に求める風潮が強まり、その行き 過ぎの結果、「経済的リターン」と「社会的リターン」を同時に生み出すことができない状況も 起こっている。「新しい公共」を考えることは、資本主義のあり方を見直す機会でもある。

イギリスでは2000年の年金法改正などによって、年金基金の運用残高のうち社会的・環境 的・倫理的な配慮がされている投資に向けられる額が、1997年のゼロから2001年には800億 ポンド(約11兆円)へと急増した。ヨーロッパの他の国でも同様の動きがある。実際、イギリス で最初に声をあげたのは年金受給者のグループだった。株主や生活者の意識が変われば 資本主義も変わり、それが企業の行動を長期的な視点によるものに変える強い力となりえる。 3 つまり、国民一人ひとりの、そして、社会の意思によって、市場を通じて「経済的リターン」と 「社会的リターン」の両方を達成することが企業価値向上につながっていく。

個々の企業においても、社会的課題の解決に向けてNPO等に寄附をしたり、社員のボラ ンティアを推進したり、本業の強みを活かして地域プロジェクトに参加するなどの、企業によ る社会貢献活動が、企業価値の向上や有用な人材を得る経営課題となっている。つまり、企 業自身にとっても、「経済的リターン」と「社会的リターン」の両方を追求していくことがより必 要になっていく。

NPOや社会的課題を解決するためにビジネスの手法を適用して活動する事業体は、社会 に多様性をもたらしている存在である。医療・介護・保育・教育等をはじめとしたサービス分 野で、また、マイクロファイナンスや環境・農業・林業・文化・芸術等の分野における新規性の ある方法による事業展開によって、行政や企業ではできない現場に即した細やかなやり方で 「新しい公共」作りに貢献している。それらの事業体の多くは、もっぱら社会活動を行っている か、市場で事業を行っていても「経済的リターン」より「社会的リターン」の創出に主眼を置い ている。

それらの事業体が、市場を通じた収益以外にも、それぞれの事業体が生み出す社会的価 値に見合った「経済的リターン」を獲得する道を開く体制をとることは、よりよい社会を構築す るための多様性を確保することに有効である。そのためには、たとえば、(i) 国民が寄附をし やすくするための税制などの制度改革、(ii) 国や自治体による、従来型の補助金ではない新 しい発想による事業活動支援スキームの導入、(iii) ソーシャルキャピタルを育成するための 効果的な財政支援や「投資」等の具体的方策をとることが考えられる。このような、「市場」を 経ない「経済的リターン」によって成り立っている事業体については、情報公開や適切な評価 システムを民間ベースで導入するなどによって、各事業体の透明性を促すことが望ましい。 

このようにして、私たち国民、企業やNPOなどの事業体、そして政府が協働することによっ て、日本社会に失われつつある新鮮な息吹を取り戻すこと、それが私たちの目指す「新しい 公共」に他ならない。


「新しい公共」を作るために

 「新しい公共」とは、「支え合いと活気のある社会」を作るための当事者たちの「協働の場」で ある。そこでは、「国民、市民団体や地域組織」、「企業やその他の事業体」、「政府」等が、一 定のルールとそれぞれの役割をもって当事者として参加し、協働する。その成果は、多様な方 法によって社会的に、また、市場を通じて経済的に評価されることになる。その舞台を作るた めのルールと役割を協働して定めることが「新しい公共」を作る事に他ならない。そのために、 「新しい公共」円卓会議は、国民と企業に対して、それぞれ、以下の(1)と(2)のようなことを期 待し、また、政府に対して(3)のような方策を講じることを提案するものである。

(1) 国民に対して

 「新しい公共」の主役は、一人ひとりの国民である。

お年寄り夫婦が朝の散歩のときに、近くの交差点に立ち寄って、通学する学童が横断歩道 を渡るのを見守るようになった。子どもたちのために始めたことが、子どもたちが挨拶してくれ るのがうれしくて、毎日の運動を兼ねた日課になった。一人ひとりが、人の役に立ちたいという 気持ちで、小さな一歩を踏み出す。そのことこそが「新しい公共」の基本だ。

東京都三鷹市では、小中一貫教育校で年齢差のある子どもたちが交流することで、目に見 える変化があったという。中学生が小学校の運動会を手伝いにくるのを見て小学生が近所の 幼稚園に“ボランティア”をしに行くようになった。学校以外の地域の集まりで、中学生たちが自 分より小さい子どもたちを気遣い、面倒を見るようになったという。

大きな社会問題も、大きな問題だからこそ、一人ひとりがかかわることが大事だ。 

長野県の多くの町や村では、50 歳代を中心としたボランティアがご近所の人に声をかけ、互 いに健康を気遣い、保健・健康についてのお知らせを一戸一戸配り、なにかと相談にのってい る。長野県は、いまでこそ長寿で一人当たり老人医療費が全国で一番少ない県として知られ ているが、以前は深刻な健康課題を抱えていた。それが大きく改善されたひとつの主要因は、 1950 年代から続いている、地域で「保健補導員」と呼ばれている人たち一人ひとりの地道な活 動の積み重ねが面になって広がったことだと言われている。

兵庫県丹波市の県立柏原病院で 2007 年に小児科の医師が1人もいなくなるかもしれないと いう地域医療崩壊の瀬戸際に立たされた地域の母親たちが、自分達にできることをしようと立 ち上がった。「受診は必要なときだけにしよう」「お医者さんに感謝の気持ちを伝えよう」などの 呼びかけをし、それが広がり、結果として、小児科の時間外受診者数が半減した。市も動き、 翌年には常勤の医師が5人に増えた。

企業も政府も、それぞれの役割を果たすことが重要であることは、いうまでもない。同時に、 われわれ国民自身が、当事者として、自分たちこそが幸福な社会を作る主役であるという気 概を新たにしようではないか。

(2) 企業に対して 

企業は、市場を通じて社会に受入れられ、社会に貢献することで、その対価として利潤をあ げる存在である。しかし、利潤の多寡という経済的評価だけでなく、本業そのものの社会性や、 社会貢献活動などに対する多様な評価を積極的に受けることを推進してもらいたい。資本主 義の下では資金の移動は非情である。資金は経済的リターンが少しでも多い方に流れる。し かし、企業が長期的に存在するためには、獲得した利益や知恵を社会に還流してゆく必要が ある。 

企業の社会貢献活動などを通じて、経営者も社員も、さまざまな分野の人と出会い、大きな 刺激をうけ、そのことが創造的なモノづくりや新しいサービスの提供に活かされることになるだ 5 ろう。低成長時代に突入した日本では、企業はこのような絶対価値(“社会的善”)を高める競 争でしか生き残れないという考え方もある。企業の「文化化」で社員が社会的・文化的視野を 広め、会社全体の社会化と多様化、柔軟な組織構造の獲得に結びつき、結果として企業価値 が高まるということに、多くの企業が気づき始めている。 

企業には、その持続可能性を高めるためにも、社会貢献活動やメセナ活動を通じた社会と の関係の重要さを認識していただきたい。また、企業における社員は、同時にコミュニティの一 員としての存在でもあることを企業が認識することも必要である。経営理念や経営者の意思と して、企業の本業の社会性を高めるとともに、直接的に社会に利潤を還元する寄付行為や、 社会がそれを受け入れる仕組みを作るなどを、企業活動の一環として位置づける方策を進め ていただきたい。

(3) 政府に対して 

「新しい公共」を実現するためには、公共への「政府」の関わり方、「政府」と「国民」の関係の あり方を大胆に見直すことが必要である。

政府は、国民や企業から、「公共」の核になる部分を委任されているという自覚を新たにする とともに、新しい時代、新しい社会に相応しい役割を発揮するために、そのあり方を一新すべく 以下の取り組みを行うべきである。

公務員制度改革により、官民や省庁の垣根を越えて、社会全体からもっとも専門性が高く 勤勉かつ有為な人材を登用して、行政の質の向上を図るべきである。税金の無駄遣いを根絶 するとともに、事業仕分けなどの新たな予算編成手法も活用して、財源の適切な配分につと めなければならない。政と官が協力して、これまでよりもっと大胆に、情報公開、規制改革、地 域主権等の推進を断行することを強く要望したい。

同時に、政府は、国民一人ひとり、そして、各種の市民セクターや企業など、社会のさまざま な構成員が、それぞれの立場で「公共」を担っていることを認識し、それらの公共の担い手の 間で、どのような協力関係をもつべきか、委託・受託の関係はいかにあるべきかを考えていた だきたい。その上で、対等の立場で対話と協働を進めていくべきだと考える。そうした対話の 場も活用し、さらに、思い切った制度改革や運用方法の見直しなどを通じて、これまで政府が 独占してきた領域を「新しい公共」に開き、そのことで国民の選択肢を増やすことが必要である。 国民がその意思を持つとともに、政府が「国民が決める社会」の構築に向けて具体的な方策 をとることを望む。

「新しい公共」の基盤を支える制度整備については、税額控除の導入、認定NPOの「仮認 定」とPST基準の見直し、みなし寄附限度額の引き上げ等を可能にする税制改革を速やかに 進めることを期待する。特に、円卓会議における総理からの指示(税額控除の割合、実施時 期、税額控除の対象法人)を踏まえて検討を進めることを強く期待するものである。以上のよ うな制度整備を行うに際しては、「新しい公共」を国民が担うという観点から、既存の規制を改 革し見直すことのなかで、それらと整合性が図られるように進めることが重要であると考える。

また、「特区」などを活用して社会イノベーションを促進し、地域コミュニティのソーシャルキャ ピタルを高める体制と仕組みを、関係各省庁の壁を乗り越えて、政府一体となって整備・推進 することや、政府、企業、NPO等が協働で社会的活動を担う人材育成と教育の充実を進める ことが重要であると考える。

さらに、国や自治体等の業務実施にかかわる市民セクター等との関係の再編成について、 依存型の補助金や下請け型の業務委託ではなく、新しい発想による民間提案型の業務委託、 市民参加型の公共事業等についての新しい仕組みを創設することを進めるべきである。

さらに、公的年金の投資方針の開示の制度化による社会的責任投資を推進することが望ま れる。

人間の中にもともと存在する、人の役に立つこと、人に感謝されることが自分の歓びになると いう気持ちと、そうした気持ちに基づいて行動する力。それをもっている人間は、公共性の動 物だといえるかもしれない。「新しい公共」では、国民は「お上」に依存しない自立性をもった存 在であるが、それと同時に人と支え合い、感謝し合うことで歓びを感じる。それが「新しい公共」 が成立することの基盤である。

最後に、「新しい公共」のルールと役割を定めるという観点から、今後の政府の対応などをフ ォローアップするとともに、公共を担うことについての、国民・企業・政府等の関係のあり方に ついて引き続き議論をするための場を設けることが望ましいと考える。

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以上、「新しい公共」円卓会議構成員の総意である。

 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授 金子 郁容
 ㈱インテグレックス代表取締役社長 秋山 をね
長野県小布施町長 市村 良三
慶応義塾大学総合政策学部専任講師 井上 英之
公益社団法人 Civic Force 代表理事 大西 健丞
丸善株式会社代表取締役社長 小城 武彦
日本テレビ報道局記者 小栗 泉
㈱スワン代表取締役社長 海津 歩
武田薬品工業㈱コーポレート・コミュニケーション部 シニアマネジャー 金田 晃一
ビッグイシュー日本代表 佐野 章二
日本女子大学非常勤講師 島田 京子
NPO法人ぱれっと創始者・理事長 谷口 奈保子
京都造形芸術大学芸術学部教授 寺脇 研
株式会社ローソン代表取締役社長 CEO 新浪 剛史
中央学院大学社会システム研究所教授 福嶋 浩彦
株式会社資生堂名誉会長 福原 義春
UBS証券会社 コミュニティ アフェアーズ&ダイバーシティ ディレクター 堀 久美子
 ㈱いろどり代表取締役社長 横石 知二
写真家 渡邊 奈々 

 「新しい公共」円卓会議構成員の総意に基づく「新しい公共」宣言について、

「新しい公共」 円卓会議に参加した政府メンバーの一員として賛同し、「新しい公共」の実現に向けて努力 する。

内閣総理大臣 鳩山 由紀夫
副総理 菅 直人
内閣官房長官 平野 博文
内閣府特命担当大臣(「新しい公共」) 仙谷 由人
内閣府特命担当大臣(行政刷新) 枝野 幸男
内閣官房副長官 松井 孝治
内閣府副大臣 大島 敦
内閣府副大臣 大塚 耕平
総務副大臣 渡辺 周
財務副大臣 峰崎 直樹
文部科学副大臣 鈴木 寛
内閣府大臣政務官 泉 健太
内閣総理大臣補佐官 逢坂 誠二
内閣官房参与 平田 オリザ

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(別添)「新しい公共」の具体的なイメージ
□□非営利セクターの活性化とソーシャルキャピタルの育成

◇「新しい公共」創造基金と寄付推進機構 市民立の公益財団法人「京都地域創造基金」をモデルに、全国各地へ展開する「新社会創造基 金」をつくる。地域の市民活動への税制優遇や社会的信用の供与を行いつつ、助成、融資、地域 資産の公共的管理・活用、また、関連団体と協力し「仮認定」NPOの公開審査による推薦、人材 育成、利子補給などを行う。市民が所得の1%を寄付する社会をめざす「寄付推進機構」を創設 し、寄付者の支援等を行う。

◇市民社会創造ファンド NPOの資金源を豊かにし、民間非営利セクターの自立した発展と活発化を図るため、個人・企 業・団体等からの多様な寄付や助成の受け皿となる専門的なコンサルテーション機能を備えた資 金仲介組織。2009 年度は、7 社 1 基金(個人)の助成プログラムを通じ、総額 1 億 2495 万円、123 件を助成した。また、NPOの現場で学生が学ぶインターンシップ事業も行っている。

◇SVP(ソーシャルベンチャー・パートナーズ)東京 SVP東京は主に社会人によるひとり 10 万円の寄附を原資に、社会的な課題の解決に取り組む ソーシャルベンチャーに対する経営アドバイスと「投資」による支援を行っている。例えば、「産後 の母体」の精神的・身体的な美と健康の増進を目指すNPO「マドレボニータ」に対して、NPO法 人化、インストラクター認定制度の整備、システム支援等の投資事業を行うことで、継続的運営と スケールアウトを可能にした。

◇1%クラブ 日本経団連が 1990 年に設立した 1%(ワンパーセント)クラブでは、法人会員が経常利益の、個 人会員が可処分所得の相当額を、自主的に社会貢献活動に支出するよう支援している。会員数 は法人会員 234 社、個人会員 940 名(2010 年 5 月現在)。また、1%クラブならびに経団連会員企 業を対象とする「社会貢献推進活動調査」に回答した 391 社による 2008 年度の社会貢献活動支 出(現物給付を含む)は 1818 億円になっている。

◇FITチャリティ・ラン (FITとは “Financial Industry in Tokyo”から名づけられたもの) 金融サービスと関連企業で働く社員有志が、ボランティアで企画・運営・実施するチャリティ・イベ ント。第 1 回(2005 年)以来毎年規模を拡大(2009 年には 97 社から 5180 人が参加)、これまでに 集められた寄付金総額 2 億 1900 万円以上。FITは 1)地域に根ざした意義ある活動を行う地域の 非営利団体への資金集め、2)イベントを通じた支援先団体の認知度向上、3)より多くの人にボラ ンティアと地域の非営利団体を支援する機会を提供することを目的とする。


□□新しい公共を担う社会的・公共的人材の育成

◇NPOと行政と企業が共に育てる社会的人材:NPOラーニング奨学金制度 多様性を受容し、社会課題に気づいて自ら考え行動する新しい公共の担い手となる若者を育む ために、NPO、行政、企業、教育機関等が協働で人材を育成する制度。NPOはインターンシップ を受け入れる。行政や企業等は奨学金や情報を提供する。教育機関は若者の選抜や単位認定 を行う。こうしたNPOの現場での体験者が広がることにより、誰もが新しい公共の担い手となれる 人的基盤をつくる。

◇PTAの活性化によるコミュニティ・スクールへの道 PTAを活性化するため、役員の過重な事務負担をサポートするNPOを設置するか既存の地域 組織に委託する。行政が委託事業予算や教育一括給付金から予算を支援し、行政の監査委員 会を設置してガバナンスをチェックする。PTAに誰も参加しやすくなり、結果として保護者世代の 10 社会参画が促進され、地域社会の担い手が育成される。また、全国の公立学校をコミュニティ・ス クールへと発展させていく。

◇総合型地域スポーツクラブを拠点とした地域住民の主体的な取組 行政による無償の公共サービスから脱却し、地域住民が出し合う会費や寄附により自主的に運 営するNPO型のコミュニティスポーツクラブが主体となって地域のスポーツ環境を形成する。学 校・廃校施設の活用や学校へのクラブ指導者の派遣など、クラブと学校教育が融合したスポー ツ・健康・文化にわたる多様な活動を通じて、世代間交流やコミュニティ・スクールへの発展につ なげていく。


□□公共サービスのイノベーション

◇新しい発想による公共サービスと市民セクターの関係構築 政府と市民セクターは自らの責務と姿勢を約束する協定を結び、新しい関係を構築することが求 められている。愛知県では、NPOと行政との合意事項をまとめ、知事と 657 団体(2006 年 10 月) が署名して「協働ルールブック」が作られた。また、我孫子市では、行政サービスを民間の提案で 民間に移す「我孫子市提案型公共サービス民営化制度」が誕生した。これらの取り組みは、他自 治体にも広がりつつある。 参考:英国では、1990 年以降「福祉多元主義」が推進され、NPOと民間企業との競合が強まった。それに伴い、 自治体は「サービス購入者」に、NPOは「サービス提供者」となり、NPOに提供される政府資金は「補助金」から 「契約」へと比重が移った。近年、内閣府第三セクター局により、適切に契約の委託・発注を行うためのアクショ ンプランが出され、効果・社会的アウトカム・効率性を高める努力がなされている。

 □□新しい発想によって地域の力を引き出す

◇地域の力で 50 年ぶりに上方落語の定席を復活し、商店街の集客を 3 倍増 大阪・天神橋商店街では、より魅力ある商店街とするため、カルチャーセンターを設けたり、イベ ント企画や商品開発などにも取り組んできた。大阪天満宮に寄席を復活させようと、商店街連合 会と落語協会が中心となり、個人や、企業、団体等からの寄付を集め、「天満天神繁昌亭」が完 成。商店街文化と芸能文化で街が再生した、大阪の新名所となっている。

 ◇小布施における株式会社による町づくり 長野県小布施町では、商工会議所と行政が協同で合計 1,650 万円の出資金を募り、第三セクタ ーとして「㈱ア・ラ・小布施」を設立。出資者は資金・労力・アイデアを提供し、事業活動の成果は 小布施町全体が向上することを恩恵に一住民として楽しむ。コミュニティスペースや宿泊施設の 運営、観光冊子等の発行、地域産業振興等の事業活動を通じて、成熟した生活文化を持つ町づ くりが行われている。

◇14 歳は、映画がタダ! 14 歳の映画鑑賞料金を、タダにするキャンペーンを提案する。地域コミュニティ、PTA、企業等で 趣旨に共感する人々から寄付を募り、映画鑑賞料金を 14 歳に限りゼロにするキャンペーンの資 金の一部補てんに充てる。学校は、中学2年生に劇場に行くことを勧めることで、映画体験の普 及を図る。行政は、映画館のない地域での上演支援や、さらに発展した、映像を通じた自己表現 を支援することで、豊かな映画文化を広める。

◇英国と米国で始動した最新の「居場所作り」プロジェクト 英国のNPOパーティシプルは、高齢社会の根本的な問題を「孤独」と考え、市民が登録してボラ ンティア「ヘルパー」になり、「病気になったので犬の散歩をしてほしい」「額を壁にかけて」といった 依頼の電話に応える仕組みを提供する。米国の「シニアチュータープログラム」は、養護施設や低 所得家庭の子どもの家庭教師をすることでシニアが教育クーポンを得る。クーポンは孫や里子の 教育費に使える。 11

◇ 市民型公共事業・霞ケ浦アサザプロジェクト 霞ヶ浦流域の環境を改善し、生物多様性を育むため、NPO法人アサザ基金をはじめ企業、地域 住民、農林水産業、地場産業、教育機関、行政など、様々な主体が協働する「市民型公共事業」。 1995 年に始まり、延べ 20 万人の市民や 200 校以上の小中学校が参加し、3 県 24 市町村 2,200 平方㎞の霞ヶ浦流域で展開。小学生の高齢者への聞き取り調査による環境改善プラン、耕作放 棄地を活用した無農薬米酒造り、間伐材を活用した護岸などのプロジェクトを実施。

□□「共感とコミットメント」の経済活動による社会のつながり形成 参考:「わらしべ長者」(今昔物語や宇治拾遺物語などに出てくる昔話)貧乏な男が藁でアブを結んだものを子 供が欲しがったのでみかんと交換し、のどが渇いた人の求めに応じてそのみかんを渡し、布をもらった。布と 交換した駄馬に水を与えると元気になり急ぎの旅に出る人が欲しがった。留守の田圃を守り、耕し、結果とし て長者になる。この男が与えたのはアブではなく創意、みかんではなく癒しである。アマルティア・センは、自分 の利益を最大化する「合理的な経済行動」に疑問を投げかけ、「共感」「コミットメント」という新しい選択肢があ ることを示唆した。わらしべ長者は、まさに、その物語である。

◇ぱれっととスワンベーカリー ぱれっとはNPO、スワンは株式会社と形態は違うが、どちらも、障害のある人たちの雇用の場を 作り、主にぱれっとはクッキー、スワンはパンを販売する。障害のある人が作るからでなく、おいし いから買ってもらうことを基本に、共感とコミットメントによる出番作りと経済活動の両立を実現し ている。ぱれっとは地域展開の、スワンはチェーン展開のソーシャルベンチャーの「共感のスケー ルアウト」の先駆例でもある。

□□民間による組織的な公共的支援活動

◇民間による大規模災害への対応プラットフォーム 阪神淡路大震災がそうであったように大災害はいつ起こるかわからず、行政は対応に時間がか かることから、公益社団法人 Civic Force は 500 人収容のバルーンシェルターの提供や物資輸送 等、迅速で効果的な支援を行う、企業やボランティアをコーディネートする民間主導のプラットフォ ームを提唱。実施主体は民間であるが自治体のオーソリゼーションを得るなど、行政との連携が 今後の課題だという。

◇市民の水源地域保全活動とトラスト法の制定等 21 世紀は石油より貴重な資源になると言われる水。この水を生む奥山水源地域を守るための市 民トラスト活動が進められ、すでに 1,536ha が買い取られている。これらをさらに促進するため、 「譲渡不能原則」(売却や抵当不可、国会議決以外強制収用されない)、「寄贈、遺贈の資産に対 する非課税」を定めるトラスト法の制定などを行う。

◇学童通学見守り隊 京都市立第四錦林小学校区の学童の通学見守り運動。商店主が朝の開店時刻を繰り上げ、 老夫婦が朝の散歩の時間を繰り下げ、主婦が午後の買い物の時刻を調整し、京大の運動サ ークルがランニングの時間帯やルートを変えるなど、多様な学区民約 400 名がそれぞれの創 意工夫で継続的に実施。防犯に加えて多大な地域活性化効果を挙げている。全国に類似事 例多数。

출처 http://www5.cao.go.jp/entaku/pdf/declaration-nihongo.pdf

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